地域で活動する県議3人が語る
寺口ともゆき県政報告『Uoooz!!』vol.2の特別企画として、2023年の富山県議会議員選挙で初当選を果たした“同期”である、黒部市選出の谷村一成議員、下新川郡選出の鍋嶋慎一郎議員をお招きして座談会を開催。同じ新川エリアで活動する3人が、県議会議員の仕事やリアルな悩み、さらに地域の課題と未来について語りました。
寺口
今回は、同じ新川エリアで活動する谷村一成議員と鍋嶋慎一郎議員に集まっていただきました。まずは、議員を志したきっかけからお話してもらえると。
谷村
大学卒業後、地元の黒部に帰ってきた理由のひとつに、自分が生まれ育ったまちに貢献したいという思いがありました。ずっとPTAや体育協会といったボランティア活動をしてきたので、その延長線上に議員という役割があったというか。
鍋嶋
私は仕事が農業なので、田んぼにいけば知った顔がたくさん。そんな人たちから「お前やってみないか」と声をかけてもらって、町議に手をあげたのがきっかけでした。
寺口
私も先輩議員の代替わりのタイミングで、商工会議所時代の経験を活かしたまちづくりをしていきたいと、市議会議員に立候補しました。当選して活動を続けるうちに、もう少し魚津市全体に関わる仕事がしたいと考えるようになったんです。
谷村
自分も市議を1期務めるなかで、市議のままではどうしても実現できない政策や事業があると感じるようになりました。正直、市議になったばかりの頃は、「県議会議員って何をやってるのかな?」なんて思っていましたけど(笑)。
寺口
市議会議員は身近だし、国会議員はテレビでも目にする。それに比べると、県議会議員の仕事って、わかりにくいですよね。魚津の場合、市議は17人いるけれど県議は2人なので、とにかくどこからでも声がかかる。市議時代の仕事をさらに濃密にした感じというか……。
鍋嶋
そうですね。寺口さんだって、前は経田地区の代表だったけれど、今は魚津市の代表。私の場合も、入善町のひとつの村の代表だったのが町の代表になったわけで、全地区の行事やイベントに呼ばれるようになりました。
谷村
活動する範囲はもちろん、連携する範囲も広がりますよね。選挙区内の住民の声を、市議会議員と一緒に県に提言することもあるし、市と連携して県や国に要望をすることもある。
鍋嶋
以前は町議として入善町の行政に対して物申していたけれど、今は町から「こういう事業をやりたいので、一緒に県に要望に行ってくれ」と言われる立場に変わりました。
谷村
国会議員と連携して国の予算を富山県に引っ張ってくるのも重要な役割のひとつ。そのためには自分の選挙区の課題を、県を通じて国に上げることも必要になります。
寺口
地域も見なければいけないし、国も見なければいけない。
谷村
そういう意味では、一番しんどいはずなのに、何をやっているかわからないと言われてしまうのが悲しい(笑)。
寺口
私の魚津市も谷村さんの黒部市も、同じ地域の中に県議が2人いますが、入善町は鍋嶋さんひとり。そのぶん、さらに引っ張りだこというか……。
谷村
運動会の来賓挨拶を分担してくれる人が誰もいない。
鍋嶋
そうなんです(泣)。たとえ開会式には間に合わなくても、6つの小学校全部に顔を出すようにしています。
寺口
ちなみに、県議になって一番大変だと感じたことは?
谷村
とにかく顔を出さなければいけない予定が多いことですかね。地域の行事やイベントが重なるので、スケジュール管理も細かくしなければいけない。
鍋嶋
町議のときは、いわゆる公務といわれる議員の仕事は年間70~80日。それが県議になったら、200日以上に増えました。各地区から上がってくる要望をまとめて町や県に要望に行くこともありますし、そのほかに委員会や勉強会などもあるので。
谷村
一般的に「議会」といわれる定例会が年4回で、それぞれ1ヶ月ぐらい。そのほか、教育や子育て、農林水産、地方創生など、テーマごとに委員会が設置されていて、それぞれ担当を決めて分担しているわけです。
鍋嶋
政策や事業を進めるうえで、知っておかなければいけない知識を前もって学んでおく。議会でしっかりした質問をするためにも、勉強会や視察は欠かせません。
寺口
市議時代に比べて委員会の数も増えたし、1期目なので「何でもやります!」と言っていたら、勉強会も毎週のようにあって。
谷村
市や町なら数万人に対して10~20人くらいの議員がいますが、県議会の場合は、富山県民100万人に対して議員は40人だけ。ですから、どうしても負担は大きくなりますね。
寺口
国内だけでなく海外にも視察に行ったり、能登半島地震のあとには大きな被害を受けた氷見や石川県の七尾にボランティアに行ったり。そういう地域の外での活動は、市議時代にはなかなかできない貴重な経験でした。
鍋嶋
ちなみに、私が一番大変だったのは、先ほどの運動会のように人前で喋らんとならんこと。勉強してから行かないと形だけの挨拶になってしまうので、必ず自分との共通点を見つけて話すようにしていますが、いつ慣れるのかな……って。
谷村
1年たって、ようやく緊張はしなくなったかな。私の場合はあまり長く喋らないので、みなさんから喜んでもらえます(笑)。
寺口
それから、覚悟はしていましたが、選挙は思っていた以上に大変でした。エリアは広いし、関わる人も増えるし、もちろんお金だってかかる。
谷村
選挙区にもよりますが、規模は市議選の4~5倍にはなりますよね。ただ、当たりといえば当たり前の話なので、それを大変というのはちょっと違うかな(笑)。私なんて、市議選で当選して1ヶ月もしないうちに「県議選に出ます!」と言ったので、後援会の人たちから引かれてしまいました。
寺口
またやらないといけないんだ、って(笑)。
谷村
話は変わりますが、市議時代に地域の人たちからくる要望の中には、比較的実現しやすいものも多かったんです。それが県議となると、要望の規模が全然変わって、短期間ではなかなか実現できないのが悩ましい。
寺口
道路1本つくるだけでも何百億という話になりますから、難しいですよね。さて、県議になってからあっという間に1年以上が経ちましたが、みなさんの感想は?
谷村
おそらく、これからの1年、2年のほうがもっと大変でしょうね。新人ですから、1年目は様子見をしてもらっていた部分もあるはず。もちろん期待されて当選したわけですから、これからどうやって結果を出していくか、それをジャッジされる時期に差し掛かっていると感じます。
鍋嶋
挨拶が下手でも、これまでは「初々しかった」で済むけれど、来年は「また同じことを言っている」となる(笑)。冗談はさておき、しっかり勉強して、みなさんの期待に応えられるような活動をしていきたいですね。
谷村
私が活動する黒部市と、寺口さんの魚津市、鍋嶋さんの下新川郡(入善町・朝日町)、この2市2町は「新川広域圏」と呼ばれています。少子高齢化がさらに進むこれからは、そうした横のつながりや連携が大事になってくると思うんです。
鍋嶋
黒部市と魚津市が約4万人、入善町が約2万人で、朝日町が約1万人。全部合わせても11万人ですから、それほど遠くない未来に、市や町単体ではやっていけない時代が訪れる。
寺口
今は共同でゴミの焼却を行っていますが、公共施設の集約なども考えていかなければいけないですよね。
谷村
たとえば「警察署を統合しよう」と言っても、やっぱり自分のまちにないと不安だという意見も出るでしょうし、そもそも行政上の区割りもあるので、なかなか難しい。
鍋嶋
課題はどこも同じで、人口が減少して、それにともなって税収が減っていくのを、どうやって食い止めるか。とくに入善の場合は、観光という観光がないので、魚津や黒部をうらやましいと感じることはありますね。
寺口
私からすると、入善はやっぱり農業が盛んなのがすばらしい。最近では、農業の大規模化や集約化が重要なテーマになっていますが、魚津の場合は集約した組合ですら立ち行かなくなりつつあるのが現実で。
谷村
採算が取れるかは別として、たとえば入善の農業法人が魚津や黒部に出先機関をつくって、新川エリア全体で農業を支えていくということだって、あり得るかもしれません。
寺口
今まさに、あいの風とやま鉄道や富山地方鉄道の今後についての議論が進んでいますが、県東部の公共交通機関の整備は、連携して話し合っていかざるを得ない問題ですよね。
谷村
公共交通が充実していけば、必ず駅の周辺に商業施設や飲食店もできるでしょうし、それにともなって定住する若い人も増えていくと思うんです。
鍋嶋
もちろん、若い人たちだけでなく、高齢者にとってもやさしいまちづくりが大前提。朝日町から富山市まで走っていた地鉄バスがなくなって、今や地域の足は鉄道だけ。しかも私の地元の駅にはエレベーターがないので、病院や買い物に行くのに困っている高齢者がたくさんいるので。
谷村
そういう意味でも、もっと大きな枠組みの中で、今の時代に合った公共交通のあり方や、まちづくりを考えていく必要がある。入善には全国的にも高いレベルの農業があるし、黒部には観光資源や大きな企業が、また魚津には祭りを中心とした歴史や文化があります。新川広域圏がひとつの行政区域のようになって、各エリアの特色を活かしたまちづくりができたら面白いですよね。
寺口
富山市が「コンパクトシティ」を目指したまちづくりを進めていますが、新川エリアは広いので、“離れているけれどつながる”をテーマにして。
谷村
たとえば、魚津駅周辺には飲食店が多いので、そこが2市2町にとっての繁華街になるように、新幹線の黒部宇奈月温泉駅と魚津駅との連携をしっかりやっていくとか。
鍋嶋
いいですね。実現できる・できないは関係なく、まずはアイデアを出し合うこと。我々が連携して新しいことができたら面白いし、市民を巻き込んでみんなが本気になって取り組めば、まだまだこの地域は発展できると思うんです。
寺口
今回は3人だけでしたが、我々と同じ会派には新人議員が9人もいます。富山県の東から西までそれぞれ選挙区も違うので、彼らとも一緒に、未来のまちづくりを考えていきたいですね。みんなの仲がいいうちに(笑)。
鍋嶋
仲がいいうちというか、我々3人が議員でおれるうちに(笑)。
寺口
谷村さん、鍋嶋さん、今回はお忙しいなか座談会にご参加いただき、ありがとうございました!
谷村一成(たにむら・かずなり)
1965年生まれ。黒部市議会議員を1期と4ヶ月務めたのち、2023年の富山県議会議員選 黒部市選挙区で当選。住み続けたいと思えるまちづくり、観光地としても魅力のあるまちづくりを目指している。
鍋嶋慎一郎(なべしま・しんいちろう)
1975年生まれ。入善町議会議員を6年務めたのち、2023年の富山県議会議員選挙 下新川郡選挙区で当選。議員の傍ら農業法人に勤務し、農林水産業の振興に取り組んでいる。